仲良し8人組
「なっ!」
当然そこには人が死んで倒れているわけで。
目の前に広がる光景に思わず日下部が声を漏らす。
一瞬だけ驚いた顔をしたものの、直ぐにサトシの側に行くと脈を確認しだすその行動は流石は警察というところだ。
脈は、……無い。
次に日下部の目を惹いたのは首だ。
首に宛がわれている自分の手。
その手を確認するが、手の上から誰かに抑えつけられた形跡が無い。
「自殺…したのか?」
自分で自分の首を絞めるなんて信じられない事だが、この現場でこの状態だとその可能性が高い。
日下部の口から溜め息が漏れる。
「やっと見付けたと思ったら、何でまた自分の首を自分で絞めるなんて真似……。あんたは何を考えてんだい。なあ、……伏見隆(フシミ タカシ)さんよ」
伏見隆。
日下部にとってはその名前と目の前で死んでいる人物が一致して当たり前なのだが。
ひなにとっては初めて聞く名前だ。
「伏見隆。……それが、サトさんの本当の名前」
不意にそうひなは呟いてしまったが、日下部がひなに気付く事はない。
急な事で、ひな自信も忘れてしまっていたのだが、ひなは隠れる必要などなかったのだ。
ひなはこの日下部には見えないのだから。
ひなの声は日下部には聞こえないのだから。
ひなが居る事に気付く事のない日下部は、自分の白髪混じりの髪を両手でグシャグシャと乱すと、眉を下げた。
「あんたの友達だろうシゲさんに、あんたが頭痛が酷くて苦しんでるから病院へ連れてってくれって頼まれたんだけどよぉ。ほんと、……何してるんだよ」
隆が死んでしまっている事が悔しい。
そんな思いが詰まった言葉だ。