仲良し8人組
思い出した記憶が必ずしも良い事とは限らない。ひなに至っては間違いなく悪い方だろう。
それをやり直せるのなら、どんな記憶であっても受け止める覚悟が少しは出来る。
例え、自分が人殺しとなっていても……。
『そうしていれば、私はサトシを救えたかもしれない。
あの記憶を変えられたかもしれないのに。
私が、……』
ひながそこまで読んだ丁度その時、低い声音が入り口の辺りから聞こえてきた。
「ここに居るんだな?」
「ああ。多分あんたが探してる人だ」
誰かが来た!
そう思った瞬間、ひなは手に持って読んでいたノートをテーブルの上に投げ出して、部屋の隅に丸めて置かれていた毛布へと身を隠す。
「助かった」
「礼よりも、彼を病院へ連れてってくれよ!頼んだぞ!」
「ああ。分かってる」
そんな会話が家の前で繰り広げられている。
声からして男性二人の声音。
一人はひなも聞いた事のある声だ。
確か、サトシのホームレス仲間のシゲさんだっただろうか。
「絶対だぞ!日下部さんよ!」
「ああ」
どうやらもう一人は日下部という男性らしい。
「すまんが、失礼するぞ」
その言葉と共にがたいの良い体格に、ベージュのトレンチコートを羽織った日下部がビニールシートを捲って入って来た。
日下部の目は鋭く、毛布の隙間から覗いていたひなの肩をブルッと震える。