仲良し8人組
「捕まえたとしても、何で捕まえたか分からなくなったら、その人は釈放されるに決まってるんだよ。だって、罪状がないもん。だから、事件が消えるって事は、犯人も消える」
そう。犯人なんて存在しないんだ。
事件そのものが無かったものとされるんだから。
「事件の記憶が消されるっていうのはそんな事まで起こるのかよ」
「私達の知らない事件の犯人が何事も無かったかの様に普通に暮らしてる。それが、……今のこの世界なのかも」
「それは、……かなり厄介だな」
頭を抱える亮介からひなが視線を逸らした。
今のこの世界なんて言ったけど、本当はいつからこんな風になっているのか分からない。
隆のノートには7年前からの事が書かれていた。
だから、7年前までは記憶が消えてるなんて事無かったんだと思う。
7年前。
その年号がひなの胸に重くのし掛かる。
「亮介。私、……怖いの」
怖い。
真実を知るのが怖い。
「何があっても俺がひなを守ってやるから」
ひなの震える手を上からギュッと握り締めて、そう真剣に言ってくれる亮介。
亮介はひなが貴文を、殺人犯が何事も無かったかの様に普通に暮らしているということを、怖いと言っているのだと勘違いしている。
でも、ひなが怖いのはその事じゃない。
「違うの。殺人犯だった瀬野貴文の事もだけど、それ以上に……」
一旦そこで言葉を止めたのは、続きを言うのが怖かったからだ。
亮介にどう思われるだろう……。
嫌われたくない。
そんな思いが強かったから。