仲良し8人組
「卓は時間に煩いから先に今日行くって言ってあんだよ」
「あー、卓だもんね」
「遅れたら、凄い文句が飛んできそうだよな」
「だね」
卓はしっかりしている分時間に煩かった。
そのせいか、時間にルーズな明とはよく衝突していたっけ。
卓が明に文句を言っていた光景がひなの頭を過る。
ただ、卓が冷静なのと明の温和な性格なお陰か、喧嘩になった事は無かったのだが。
暫く歩くと卓の家へ着いた。
庭は殆ど無く駐車場という合理的な形で、家そのものは一般的な洋風家屋だ。
亮介が玄関にある呼び鈴を押そうと手を伸ばしたその瞬間、
ガチャッ!
その音と共に玄関が開く。
「うおっ!」
突然の事で身を後ろに引いて驚く亮介の前に、クスクスと笑って立っているのは卓だ。
卓がクイッと眼鏡のウェッジを上に押し上げる。
「そろそろ来るかと思ってたんだよ」
全てを見透かした様な話し方。
どこか冷たさを含むその話し方は全く変わらない。
冷静で頼りになる反面、何を考えているのかいまいち掴み所が無いタイプ。
そうひなが思っていたのは昔からだ。
その考えは記憶にある卓から3年後の卓になっている今も、何ら変わらない。
「そっか」
「まあ、上がってよ。久しぶりなんだからさ」
「ああ」
行くと亮介が約束していたからか、スムーズに話が進む。
卓に言われるまま家へとお邪魔すると、廊下を過ぎて突き当たりにある階段を上っていく。
掃除の行き届いた綺麗な家。
ほこり一つ無いと言えるくらいだ。