仲良し8人組
ページを捲る手を止めてじっとその場所へと目を落とす卓が頭を捻る。
「うーん。特に何も無かったと思うけど」
「やっぱ、そうか」
日記になら何か残っているかも!と少しだけ期待していた亮介だったが、あっさりと希望が崩れ落ちる。
ひなに関してはもう慣れなのか、ギュッと唇を噛むだけ。
亮介がガクッと肩を落としている中、卓が淡々とした口調で、
「仲良し5人組だったっけ」
そう口にした。
仲良し5人組。
その言葉で卓も明や勝也を覚えていない事は明白だ。
「それがどうした?」
「誰が最初にこんなダサい名前付けたんだっけかなと思ってさ」
「ダサいって……」
亮介の眉間に皺が寄る。と、同時に卓の言葉がひなの胸を刺した。
最初に仲良し8人組と言ったのは、ひなだ。
いつも8人で一緒にいて、遊んだりする。そんな毎日が続く中で自分達の事をそう言ったのだ。
それを皆が良いね!と言って使い始めた言葉。
だった筈なのだが。
どうやら卓は『良い』とは思っていなかったらしい。
亮介の顰めっ面に気付いた卓は、
「あれ?亮介だったっけ?馬鹿な女だったと思ってたけど」
そう言って首を傾げる。
「馬鹿な女って!」
キッと卓を睨む亮介は、ひなが言い出したのを覚えている。だからこそ、卓に怒りを顕にしているのだ。
卓の言う馬鹿な女は間違いなくひなの事。