仲良し8人組



真っ赤なペン。


『死ね』の文字。


書かれている内容の上にはその日の日付。


ひながまだ中学生だった頃の日記だ。



『その『死ね』の言葉の上に書かれている名前、それは『ーーー』だった。

仲が良さそうにしながら、こんな呪いの様な事をする。

夢は実に興味深い。

そして、今朝。

彼女の机から夢が昨日書いていた紙が出てきた。

それに対して夢は、『こんな事するなんて許せません!』と怒りを顕にしたのだ。

自分が書いて自分がその机に入れた癖に』



相手の名前の部分だけ何故か滲んでいて読む事が出来ない。


でも、ひなはそこに誰の名前が書かれていたか知っている。


この書かれている内容は、自分に起こった事なのだから。


滲んでいて読めない名前は『神崎ひな』だ。


ひなはこの世界では消えかけた存在。だからこそ卓の日記の中のひなの名前も消えかけているのだ。



「夢が、……書いたの……」



消え入りそうな震えた声を出すひなを亮介が心配そうに見つめる。



「ひな、…大丈夫か?」



亮介がそう訊いてもひなは耳を傾けない。


余りにも衝撃が大きかったのだ。



「夢は、……私に死んで欲しかったんだ」



そんなひなの呟きが亮介の耳に残る。


再び亮介がひなの名前を呼ぼうと口を開こうとしたその時、


カチャッ。


その音と共に卓が部屋へと戻ってきた。



「それ、……読んだ?」



ドアの前に真っ直ぐ立ち、2つのマグカップを持った卓の目は細められて笑っている様。


なのに、卓の声はさっきよりワントーン低い。


< 167 / 256 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop