仲良し8人組
目の前の卓から漂う威圧感がひなと亮介を襲う。
手に本を持っている亮介は勿論、その隣で夢の事で打ちひしがれていたひなでさえも、全身にぶわっと鳥肌がたった。
「わ、わりぃ」
「いや、良いんだよ。亮介ならきっと読むと思ってたから」
「なっ……」
へらっと笑いながら亮介の側へゆっくりと歩いて来る卓が言った言葉に亮介が目を見開く。
「わざと。わざと片付けずに置いておいたんだよ」
クスクスと笑う卓。
その姿を見てひなが眉間に皺を寄せた。
わざと。
そうだ。卓が本棚に直ぐに戻せるのに戻さずに机の上に置いたままにして部屋を出ていくなんて可笑しな事だったんだ。
亮介の性格も把握した上で、読ませる為に置いてたんだ。
卓が描いた通りに動いてしまったんだ。
「いつもながら感じわりぃな。卓」
「何を今更」
卓は悪態を吐く亮介をものともせずに、亮介の後ろからひょこっと顔を覗かせる。
そして馬鹿にしたようにフッと鼻で笑った。
「どこを見ていたのかと思ったら中学の頃のか」
「ああ。これは」
「本当だよ」
亮介の言葉に被せるように言う卓は自棄にニヤついている。
まるで楽しい事を思い出しているかの様なその姿にひなの背中がゾッと粟立つ。
卓の話が聞きたくない。
何も言わないで!
そうひなが思った所で、卓の話は止まらない。