仲良し8人組
「ほんとに廃墟って感じだね」
「あー、工事が途中で止まったせいかもな。窓ガラスとかも殆ど全部割れちまってるからな」
亮介の言葉を聞いてひなが校舎の連なる窓へ視線を走らせる。
バリバリに割れた窓ガラス。そして、その下にはガラスの破片が散らばっている。
「……ほんとだ」
光を反射しているガラスの破片が、自棄に怪しく目に映る。
皆で集まった時はこんな気持ちにはならなかったと思うのに……。
ひなの恐怖を煽るのは校舎の外観なのだろう。
こういうお化け屋敷の様な雰囲気が苦手なひなにとっては、懐かしの中学校の校舎でさえ足を踏み入れるのが少し躊躇われる。
「中、入るのも何か不気味だね」
作り笑いをしながら亮介へと顔を向けると、トンッと亮介がひなの背中を押した。
「怖がってるのバレバレ」
「あははは。だよね」
余りにも歪なひなの笑い顔。
亮介か気付かないわけがない。
「ひなは苦手だもんな。お化けとか幽霊とか」
「うん」
しゅんと頭を下げるひなの顔を亮介が膝を曲げて覗き込んだ。
「止めとく?」
お化け屋敷の様になってしまった校舎に入らなくても良いという選択肢を与えられている。
しかしここに入らないという事は、ひなの記憶探しもここまでということだ。
それはひなの記憶が後数時間で勝手に戻るかどうかというかなりの賭けになるのをひなも分かっている。
ギュッと自分の手を握り締めて顔を上げると、亮介の顔を見据えるひな。
「行くっ!」
その言葉だけでひなの強い意志が表れている。