仲良し8人組



「ひなは怖がりだから、見えてないものでも見えた気がしたのかもな。ほら、壁にある染みが顔に見えるっていう感じのさ」


「そう…かも」



実際にハッキリと見たわけじゃない。


だから亮介が言っている事の方が正しいのかもしれない。



そう思うとひなは頭をぶんっと横に一度振った。



「教室行こっか!」



さっき見た気がした事を忘れる様に口を開いたひなの明るい声が校舎に響く。


おう。という亮介の返事と共に今度は教室へと歩を進めた。


歩くたびにキシッ…キシッ…と鳴る廊下の木の音が校舎に反響する。


古い木造の校舎なのだから木が軋む音など当たり前なのだが、使われていない廃校だというだけで怖さが増す。


その音に眉をひそめるひな。


だが、亮介は何も気にしていないのかケロッとした顔のままだ。


木の廊下はまだ続く。


外の窓は全部と言っていい程割れていたのだが、中に入ると割れていない窓の方が多い。


ガラスの破片を避けて歩く必要もない位だ。



「懐かしいな」



ひなの隣を歩いていた亮介がポツリとそう言葉を漏らした。


亮介にとってはここに来たのは3年前に集まって以来なわけだから、懐かしいと感じて当然だ。


少しだけ楽しそうな顔をしている亮介に、ひなが声を掛けた。



「亮介。私ね。……記憶が戻ってきてる」


「ほんとか!?」


「うん。この廊下を今みたいに亮介と一緒に歩いて教室に入ったのも思い出したよ」


「そっか。後少し…かもな」



そう笑いながら言う亮介の顔は、眉尻が下がっていてどこか寂しさを含んでいる気がする。


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