仲良し8人組
ひなが元の世界に戻るという事は、今目の前にいる亮介の前から消えるという事にもなるわけだ。
ここはひなが存在しない未来。
ひなが元の世界に戻る事でひなが存在する世界になるとしたら、未来を書き換える事になる。
だとしたら、今ひなの目の前にいる亮介と一緒にした行動はきっと無かった事になるのだろう。
それを亮介も分かっているのだろう。
教室の前まで来ると亮介が教室の戸を開いた。
横開きなのだが、木が歪んだ為かガタッと大きな音が響く。
教室の中は殆ど変わらず、机が並んでいて前には黒板がある。
変わった所といえば、外側の窓ガラスが割れている位。
亮介がスッと教室の中に入るのに続いてゆっくりとひなも足を踏み入れた。
私達の教室だ。
キョロキョロと教室内を見渡すひな。
その時、ひなの頭にズキッと痛みが走った。
頭の中に流れ込んでくる記憶。
「そうだ。私達がこの教室に入った時には梓と夢しか居なかったんだ」
亮介と一緒に入った時、この教室で梓と夢が話をしていたんだ。
内容は専門学校や大学の事だったと思う。
「思い出したのか?」
「うん。勝也と太一は遅れるって連絡が入ってて、卓と明は来てたけど校舎を自由に見て回ってた」
勝也と太一からは仲良し8人組のグループのラインに遅れる知らせが入ってたのは、電車に乗る少し前。
「少ししたら、太一が懐中電灯を持ってやって来たんだけど、勝也がまだだから私も校舎を見て回る事にしたの」
そこで卓と明の話を聞いたんだ。