仲良し8人組
あれ?今更だけど、記憶が戻ってきたからこそ気付いたけど、よく考えたら私はこの日に勝也には会ってないんだ。
そうひなが思って、ふと勝也の席があった廊下側の席へと顔を向けた瞬間、
「キャッ!」
悲鳴をあげてビクッと肩を揺らした。
一気に真っ青になり、ガタガタと震え出すひなに亮介が首を傾げる。
「どうした?」
「い、今……。長い黒髪の女の人が……」
そう言いながらひなが指差したのは廊下だ。
日が傾き始めているからか少し薄暗い廊下。だが、誰もいない。
「誰もいねぇけど?」
「通った…よ。今度は絶対に見間違えなんかじゃないよ!」
必死に亮介にそう言うひなの目は恐怖からか涙目だ。
そんなひなを見て、意味深な顔付きで顎に手を当てた亮介が、
「もしかして……」
そうポツリと呟いた。
「もしかして?」
「梓が言ってたじゃねぇか。少女の呪いの噂があるって」
「あっ、……そういえば」
確かに梓がそんな事を言っていた。
制服姿の長い黒髪の女の子が夜な夜な歩き回っているという噂。
聞いた時は凄く気になってたのに、皆の本当の気持ちに動揺していて、ひなはスッカリと忘れていたのだが。
噂では女の子だけど、さっき見たのは女の子というよりは女性な様な気がした。
若くても高校生位…だと思う。
「まっ、誰かが入って来てるのかもしれねぇし。あんま気にすんなよ」
「そ……だね」
少女の呪いの噂とは少し違ったから、亮介が言うように勝手に入って来た人なのかもしれない。