仲良し8人組



ただ、ひなの視界に映ったその女の人はもやが掛かった様にぼやけていた…気がしたとは亮介に言わずにグッと喉の奥へと押し込んだ。


幽霊ではなく人である事願って。



「それよりもさ、ここ見てみろよ」



そう言って亮介が屈んで指差している先は、中学の卒業式の日に皆で彫った自分の名前のある柱だ。



「私達が彫った名前だよね」



亮介の側に寄ると、ひなもその名前へと視線を落とす。


勝也と明の名前が消えている。そして、ひなの名前も……。


本当は8人の名前が彫られていた筈なのに、今しっかりと目に映るのは5人だけ。


その事実に少しもの悲しい気持ちにひながなった時、


「ああ。でもさ……」


亮介がその言葉と共に、指差していた場所から指を下へとゆっくりと動かした。



「ツジアンナって誰だよ」


「ほ、本当だ……」



8人の名前が彫られている場所から真っ直ぐ下の床に近い場所に綺麗な字で彫られた名前。


『ツジアンナ』



「ひな、知ってる?」


「ううん。知らない」



ツジアンナなんて人の名前、聞いたこともない。


第一、こんな所に名前が彫られているのを見たのは今初めてだ。



「太一が言ってた名前ってこの事だよな?」


「そう…だよね」



太一が見たと言っていたのは3年前の話。


皆で集まった日の事だ。



「いつ、……彫られたんだろ?」


「彫られてる部分が俺達のよりだいぶ汚れてる。場所が下なのもあるけど、俺達の後か先か?って訊かれたら、間違いなく先…だろうな」



亮介の指が『ツジアンナ』の名前をなぞる様に滑る。


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