仲良し8人組
「名前を残して置きたかった…て事?」
「卒業する時ってーのは、大体皆そんな事考えるもんさ」
「だね」
そう話していた時、
ガシャン!!
二人の後ろから響く大きな音。
慌てて後ろを振り返ると、さっきまで普通に置かれていた椅子が倒れている。
それだけで、ひなの心臓がバグバクバクと大きな音をたてる。
「椅子……倒れただけかよ。ビックリした」
「…………」
ほっと息を吐く亮介の隣で驚き過ぎたのかひなは声も出ない。
「バランスが悪かったのかもな」
「か、……かもね」
古い建物は、目の前の道路を車が走っただけでもグラッと揺れる事がある。
その振動で倒れたのだろう。
きっとそう。
そう思っているのに、ひなの頭をさっき見た女の人の光景が過る。
と、同時にブルッと身体を震わせた。
その隣でスタッと屈んでいた体勢から立ち上がった亮介が口を開く。
「さて、次はどこの教室に行く?」
次はもう決めてある。
卓と明が話をしていた所。
「2階にある理科室…かな」
ひなのその言葉を聞くと「じゃあ行くか」と言い、直ぐにグイッとひなの手を引いて歩き出す亮介。
亮介の手の温もりに少し安心したひなは、さっき感じた恐怖を忘れる様に足を動かした。
廊下に出るとひなはキョロキョロと周りを見渡しながら歩くが、人影すら見当たらない。