仲良し8人組
ここで、卓と明が言い合っていたのを見たんだ。
さっきまではハッキリ思い出していなかったけど慌ててこの場から離れようとした時、最後に卓が言っていた言葉が耳に届いたんだ。
私はその言葉も聞かなかった事にした。
『勝也が助けてくれる…とでも思ってる?勝也は女癖が悪いからね。1回寝た位では助けてくれないよ』
卓のそんな言葉を。
勝也と明がそんな関係になっていたという事を信じたくなかった。
でも、よく考えれば勝也は女癖が悪いままだったのに、それに目を瞑って見ない様にしていたのは誰でもない、……私だ。
「次の所に……行こっか」
この場所にもう居たくない。
そんな気持ちになったひながそう言いながら亮介の肩を叩いた。
それに「ん?…おう」と少し不思議そうな顔をした亮介だが、ひながスタスタと理科室から出ようと歩き出してしまっている為に、その後を追うだけ。
二人して理科室を出た時、理科室の近くにあるトイレがひなの目に入った。
外の光か余り入らない場所にあるせいか薄暗くて不気味なその場所。
「あっ、そういえば。……この階の女子トイレに入った気がする」
「トイレに?」
ピタッと足を止めたひなの隣で亮介が首を傾げる。
ひなの視線は女子トイレに釘付けだ。
「うん。多分、……明を…探してて」
ひなの頭がズキズキと痛むと共に、あの日の光景が頭の中に蘇ってくる。
懐中電灯を手に持ち、必死に明を探す自分が。
1つ思い出せば後は数珠繋ぎの様に押し寄せてくる記憶の波。