仲良し8人組
「探して?」
「うん。理科室で卓と明が居るのを見てから、元の教室に戻ったんだよ。それから少ししたら卓も教室に戻ってきて、後は勝也と明だけが居ない状況になったと思う」
「なるほどな。それで皆で明を探してたって事か」
腕を組んで納得している亮介の横でひなはゆっくりと首を縦に振る。
「勝也は遅れるって連絡があったから。それに卓が明はもうここに来てるって言ったから」
「それでトイレか。で、一人ずつで探してたのか?」
心配そうな顔をしてそんな事を訊いてくる亮介に、ひなが苦笑いを漏らした。
「今みたいに廃墟って雰囲気でも無かったから、一人じゃ怖いって気持ちも無かったんだよ。ラインで連絡も取れ合えるから、一人ずつの方が効率的だしね」
「確かにな」
確かにと言っているのに、亮介の眉間には皺が寄っていて不満顔だ。
一人ずつで探そう!ってなった時にも亮介はこの顔をしていたような気がする。
その時の亮介の顔を思い出し、ひなの頬が思わず緩む。
心配症。
だけどそれが、……凄く嬉しい。
そんな気持ちが溢れ出たのだ。
「私、見てくるよ!」
速くなる心拍数を誤魔化す様に明を探す為に入ったトイレへと駆け出すひな。
その後ろに続く亮介が口を開いた。
「付いて…」
「来ないでね!ここ、一応女子トイレだから」
付いていく!という言葉に被せられた言葉。
くるっと後ろを振り返って、ニカッと歯を見せて悪戯に笑うひなに亮介は苦笑して「おう……」と言うしか出来ない。