仲良し8人組
結局女子トイレの前で亮介が待つという状態で、ひなが一人でトイレへと足を踏み入れた。
女子トイレの窓は小さい窓が1つだけ。
だからかトイレは真っ暗ではないが廊下よりも暗い。
目が暗さに馴染むまではハッキリと見えない状況だ。
ゆっくりと歩を進めていくひな。
その時、スッとひなの横に人影が見えた気がして、バッと横を振り向いた。
そこにあるのは手洗い場の上に設置されているひび割れた鏡。
鏡に映っていたのは、ひな自身だ。
自分の影に驚いただけ。
それにほっと胸を撫で下ろしながら、
「こんなに怖かったっけ…」
そう一人で愚痴を漏らす。
今のひなの心拍数は凄く速い。
小刻みに震える指。
ギュッと握る手にはじわっと汗が滲む。
それでも一人で大丈夫だと言った手前、今更亮介に来てもらうなんて事も出来ない状況だ。
右手側に4つ。
左手側に3つ。
全部で7つの個室トイレ。
全てのドアは閉じているから、人が居るかどうかを確かめるには1つずつ開けて中を確認していくしか方法は無い。
だから明を探していた時もそうしていた。
記憶を思い出す様にひなは手を伸ばすと、先ずは右手側の1つ目のドアをゆっくりと押した。
ギィー……。
立て付けが悪くなっている為に響くその音。
それにひなの肩がビクッと揺れる。
黒く汚れたタイルの床に白い和式トイレ。
トイレットペーパーは当然なく、隅にサニタリーボックスらしき物があるだけだ。
他には何もない。
誰も居ない。
その事にひながほっと息を吐いた。