仲良し8人組



「おじさん達、警察官なんだけどね。君にちょっと訊きたい事があってね」



ニコニコと笑って軽くそう言うと、「ほら…ね!」と警察手帳を少年に見せた。


そのお陰か、さっきまで不安感からか固まっていた少年の顔がパアッと明るく変わる。


少年のその表情にほっとした日下部がそこで田村と交代する。



「この辺りにある馬渕さんの家は知っているかい?」



通報があった場所は、この辺りにある馬渕という家だ。


今、日下部と田村が向かっているのは当然その家なのだが、その家があった方からやって来たこの少年なら何かを目撃しているのでは?という考えからこの少年に声を掛けたのだ。



「馬渕さん家なら知ってますけど。さっき前を通りましたから」


「その時、誰か見掛けなかったかい?」


「えっ?亮介君とひなちゃんは見たけど」



首を傾げてそう答える少年。


怪しい人なんて見なかった。


そういう事なのだろう。


たが、日下部が訊きたかったのは怪しい人ではない。


馬渕家から出て来た可能性のある人物を割り出したかったのだ。



「亮介君とひなちゃん?」



そう聞き返す日下部の目は鋭く、少年の肩がビクッと揺れる。



「あっ、その……。僕の幼馴染みのお兄さんとお姉さんで」



日下部の目から逃れようと、慌てて少年が訂正を入れるが、日下部には少年とその二人の関係性はどうでも良かったらしい。


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