仲良し8人組
「ふーん。彼等は何処へ向かってたか分かるかい?」
どうでも良さそうな相槌の後に再び次の質問を繰り出す日下部。
それに少し首を傾げてから少年が口を開いた。
「方向はこっちに向かって歩いてたから、もうすぐ取り壊される予定の中学校かな?それ以外には殆ど何も無いですから」
少年が指を差す方向は今向かっている馬渕家と反対方向だ。
それを見た日下部が一瞬だけニヤッと片方の口角を上げた。
そして、
「そっか。ありがとう!」
そう言うと少年が「いえ」と軽く頭を下げる。
その時、軽快な音楽が響いた。
最近良く耳にする曲。ボヌール社のコマーシャルで流れている曲だ。
「あっ、電話だ!」
少年がポケットに突っ込んでいた手を出すと共に、現れるスマホ。
音の発信源は少年のスマホの着信音だったらしい。
そのままスマホを耳に当てる。
「あっ、父さん」
そんな少年の言葉が放たれるその横で、田村が日下部へと耳打ちをした。
「何か関係があるんですか?日下部さん?」
だが、田村がその答えを日下部から貰える事はなく、
「田村。お前は通報にあった馬渕家に行け!」
日下部はそう叫んだと思ったら、少年が指を差していた方向へと駆け出していく。
「お前はって、日下部さんは!?」
「俺は中学校へ向かう。じゃあ、頼んだぞ!」
「く、日下部さーん!」
取り残された田村の叫びが静かな住宅街に響き渡った。