仲良し8人組
スピードを落とすこと無く、その部屋の前に着くとドアの上にあるプレートを確認する日下部。
家庭科室。
その部屋に何が待っているのか。
そんな不安から日下部は、自然と上がる心拍数と共にゴクッと息を呑んだ。
そしてそっと閉まっているドアへ手を掛けると、バンッと大きな音を響かせ勢いよくドアを開く。
「警察だ!」
女性の泣き声を消してしまう程の日下部の大きな声。
それに家庭科室に居た数人がバッと顔を日下部の方へと向けた。
家庭科室に居たのは5人。
ふわっとした雰囲気の女性と、その横にアフロヘアの男性と眼鏡を掛けている男性が立っている。
そんな彼らの前には屈み込んでいる女性と、その背中を優しく撫でている男性。
ずっと聞こえ続けていた声はこの屈み込んでいる女性のものだ。
日下部へと目を向けたのは立っていた3人だが、その3人には目もくれず泣いている女性へと向かって歩を進める。
見た所、誰かが凶器となる物を持っている雰囲気は無い。
だからか、日下部は警察手帳を彼等に見える様に持ちながら近付いていった。
立っていた3人は、突然警察がやって来た事に困惑を隠せていない。
が、残りの2人はそれにすら関心を示せる状態ではないらしい。
通報してきたのは女性の声だった。
なら、……泣いている彼女が…。
「私は刑事課捜査一課の日下部だ。馬渕家で人が死んでいると通報をしたのは君だね?」
泣き続けている女性の前に日下部も屈むと、目線を合わせてそう訊ねた。
その瞬間、隣からの鋭い視線が突き刺さる。