仲良し8人組
記憶喪失になっていない?
記憶が3年分無くなっているのに、記憶喪失じゃない?
「ど、どういう事ですか!?」
サトシの言葉にまたしても、グイッと顔を近付けるひな。
それを気にする事もなくサトシが話を続ける。
「記憶喪失なんかじゃない。記憶というか、その抜けた3年間を君はまだ体験していないんだよ。だから、記憶が無くて当然さ」
「まだ……、体験…してない?」
「はっきりとは私も分からないが、多分タイムスリップの様な感じじゃないかと思ってる。つまり、神崎さんが記憶する3年前からここにタイムスリップしたというのが私の仮説だ」
信じられない。信じられないけど、……今の現状が信じられない事になっているから、疑う事も出来ない。
「タイムスリップって……。そんな事あるんですか?」
「あるんじゃなくて、今起こってる。疑うのは君の自由だ。これは、あくまでも私の考えた仮説だ」
恐る恐る聞いたひなに対して、そうはっきりと言うサトシ。
サトシは視線を真っ直ぐひなに向けていて、その目は真剣だ。
この仮説を間違っていないと信じているのが分かる。
信じられない……けど、信じるしか前に進めない。
「サトさんの仮説、……信じます」
サトシの目をしっかりと見つめ返して言ったひなの言葉。
それにサトシがふふっと笑って頬を緩めると、
「そう言ってもらえると助かるよ」
まるでひなのお父さんの様なその微笑みに、ひなの肩に入っていた力がスーッと抜けた。