仲良し8人組
「神崎さん。君に出来る事は、記憶を思い出す事だ。その為にはまず、君の知り合いの内の君が見える人を探した方が良い」
「何で…ですか?」
「君は消えかけた存在だ。何があったか人に話を聞くことも出来ない。だから、その相手に協力してもらうしかないんだ」
確かに今のひなでは何も出来ない。
手探りしようにも、何があったかを聞ける友人達ですら連絡がつかないのだから。
知り合いの中にいる私が見える人。
まずはその人を探す事が、この世界から元の世界に戻る道へと繋がる。
「協力者って事…か」
そうひなが呟いた時、バサッと入り口のビニールが捲り上げられた。
「サトさ~ん。貰ってきてやったぜ!」
そう明るい声音を響かせて顔を覗かせたのは、お世辞にも綺麗とは言えないボロボロの服を着たおじさんだ。
ボサボサに伸びた髪が絡まったその姿から察するに、サトシと同じホームレスというところだろう。
「今日は気前が良いぜ!カレーだとよ!」
そう言いながら、そのおじさんがサトシに手に持っていた白い器を差し出した。
白い器の中は、おじさんが言った通りカレーが入っていて、まだ温かいのか湯気がたっている。
どうやら、この辺りのホームレスへの炊き出しみたいなものらしい。
当然ながら、このおじさんにもひなは見えていないわけで。
彼の目線はサトシへと向けられたままだ。