仲良し8人組



サトシもにこっと微笑むと、座っていた腰を上げてそのおじさんへと近付いていく。



「いつもありがとう。シゲさん。本当に助かって……うっ……」



お礼の途中で頭を抑えてその場に踞るサトシ。


シゲさんと呼ばれた彼もまた、心配そうな顔をして腰を屈めるとサトシの顔を覗き込んだ。



「大丈夫かよ、サトさん?また、頭痛かい?」


「ああ。すまない」



さっきひなも見たが、サトシはかなり酷い頭痛が度々襲ってくるらしい。


サトシの頭痛が治まってきたところで、


「ほらよ」


と再び差し出されたカレーの入った器。


それをサトシが両手で受け取ると同時に「ありがとう」というお礼を添えた。


彼等は、この炊き出しによって生きていく為の食事を補っているのだろう。



この炊き出しが無くなってしまったら、どれくらいの人が飢えに苦しむ事になるんだろう……。



そう想像するだけで、ひなの背筋がゾッとした。


ひながそんな事を考えている間もサトシとおじさんの会話は続く。



「ボヌール社にはほんと世話になるな。こうやって毎日俺達みたいなホームレスに、食事の配給に来てくれるんだからさ」


「ああ、そうだね。ところで、シゲさん。またボヌール社はあの大きいテレビ付きのトラックで来ていたのかい?」


「おう!毎度ながら凄いトラックだよな。そこから流れてるのは基本ボヌール社のコマーシャルばっかりだけどな」


「そうか」



ボヌール社。


聞いたことある。


確か、……最近このコマーシャル多いな。って思ってた会社名だ。


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