仲良し8人組
《全ての人が幸せで平和な未来の為に!》
そう唄っていたコマーシャル。
そのボヌール社が3年後には炊き出しをしてるんだ。
あのキャッチフレーズは嘘じゃなかったって事か……。
大きな事を言っても、それを実際に行動に移せている会社というのは少ないもので。
それをやっているボヌール社が普通に凄いと思う。
ボケッと二人を見ていれば、二人の話はまだ続いているらしく、おじさんがわしゃわしゃと絡まった髪を掻きむしる。
それに思わずひなの眉間に皺が寄った。
でも、おじさんにそんなひなは見えていないのだから、気にする様子は一切無い。
まあ、彼なら見られていても気にしないのかもしれないが……。
「まあ、サトさんは配給を取りに行った事がないからあのコマーシャルを見たことないか」
シシッと茶色い歯を見せて笑うおじさんに対してサトシが苦笑する。
そして小さな声で、
「ああ。……見たくもないよ」
そう呟く。
そのサトシの表情は、まるで憎しみがこもっている様なもの。
ボヌール社とサトさん。
昔、何かあったのかもしれない。
そう思った所で、じゃあな!と言っておじさんが外へと出ていった。
炊き出しを取りに行かないサトシの為に、いつも貰ってきてくれているのだろう。
ホームレスというだけで近寄ろうともしなかったが、彼等の世界は温かい。
「神崎さん」
「えっ、は、はい!」
不意に呼ばれた名前にひながビクッと肩を揺らす。