仲良し8人組



これが、ひなが亮介の彼女とかいう立場だったなら、話は違っていたのだろうが。


再びマグを口へと運ぶと、コーヒーがひなの喉を潤す。



「あのさ、亮介、亮介の記憶で一番最後に私と会った日って何してたか分かる?」



不意に気になって出た疑問。


亮介の記憶の中でひなと一番最後に会ったのはいつなのだろうというものだ。



「最後?」


「うん。最後だから3年前位?」



どんな事件があった?という質問は覚えてない可能性が高いが、それが自分が体験した事になると話は変わる。


3年前位に会ったっきりと言っていた亮介は、日にちは正確で無いかもしれないが、多分ひなと最後に会った日の事を覚えている。



「あー、確か……。中学校の校舎に集まった時じゃないかな」



思い出す様子で言われたその言葉にひなが目を見開いた。


中学校に仲良し8人組で集まった日。


それがひなの覚えている範囲の最後の記憶。



「そ、それって廃校になるからって集まる事になった!?」


「おう。それだよ」



やはり、ひなの記憶が切れた所から亮介はひなに会っていないのだろう。


それよりもだ。



「私、中学校まで行ったの?」


「ん?覚えてねぇの?俺と一緒に行ったじゃん」



ひなの無くした記憶が埋められていく。


自分が中学校の校舎までは行っていたというのだ。しかも、亮介と一緒に。



「亮介と一緒に……。行く前にスーパーに寄って?」


「そうだけど。覚えてんじゃん」



ひなが覚えていないのかと心配そうな顔をしていた亮介がフッと笑う。


覚えていた事に安心したのだろう。


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