仲良し8人組
だが、ひなはその日の事を全部覚えているわけじゃない。
「うん。スーパーに寄ろうって言ってた所までは覚えてる。けど、……それ以降は覚えてない」
ひなのその言葉を聞いて、あー…と言いながら視線を上へと向ける亮介。
そして少しすると何かを思い付いたのか、ひなへと視線を戻す。
「ってことはさ、俺がひなに記憶を教えればいいんじゃねぇか?そしたら、簡単に思い出すだろ?」
「かも。本当に凄く簡単……」
亮介の言う事は正しい。
ただ、……簡単過ぎて怖い。
「一応、その時の話聞いてもいい?」
「おう」
何かにつけて切っ掛けが無いと記憶は思い出さない。なら、亮介からの話が切っ掛けになる可能性は高い。
何だか分からない怖いという感情よりも、今は聞く事を優先させるべきだとひななりに判断しての問い掛け。
「私も含めて8人で集まったんだよね」
さらっと言った筈なのだが、何故か亮介が目を丸くする。
「えっ!?何言ってんだよ?ひなも含めて6人だろ!」
「えっ!な、何言ってんの!?仲良し8人組だ!って言ってたよね」
「いやいやいや、仲良し6人組だろ」
「何で2人抜けてるのよ!」
何で亮介が仲良し6人組だと言い張るのかがひなには理解出来ない。
どう考えても8人いるのに。
「いや、俺とひなだろ。後、梓に夢。それと太一と卓だから全員で6人だろ」
指を折りながら人数を数える亮介の顔は真剣そのもの。
それと同時に亮介の口から呼ばれなかった名前がひなの頭の中を駆け巡る。