仲良し8人組
ひながメロンパンを食べ終わると、唐突にパチンッと両手を合わせた。
「あっ、忘れる所だった!」
「何を?」
亮介の質問に答える事はなく、近くに置かれていた鞄の後ろにそっと身を隠している紙袋へと手を伸ばす。
「はい。これ」
「ん?俺に?」
ひなから差し出されたその紙袋を受け取りながらも、亮介は不思議そうに首を傾げるのみ。
「うん。だって昨日は亮介の誕生日だったでしょ。一日遅れだけど」
もしかして、……自分の誕生日忘れてたとか?
一瞬そう思ったが違ったらしい。
「……覚えてくれてたんだ」
ポツリと独り言の様に呟いたその言葉がひなの胸に響く。
亮介は、3年前の誕生日の日から私と会って無いんだ。
その間、私は亮介にプレゼントを渡していないんだ。
忘れてるって思って当然だ。
「当たり前だよ!」
明るい声を響かせるのは、亮介に自分の誕生日を忘れられていると思わせたという罪悪感を亮介に悟らせない為。
亮介も特に気にした様子もなく、渡された紙袋から綺麗に包装された箱を取り出している。
「あー、でも。そのプレゼント、3年前の亮介用に買った物だから、微妙だったらゴメンね」
ひなが渡したプレゼントは、今目の前にいる亮介の為に買った物ではない。
趣味は3年ではそうそう変わらないとは思うが、会社に入ったばかりの亮介のやる気を少しでも後押し出来ればと選んだ物だ。
既に、仕事を3年続けている亮介には不要な物かもしれない。
「そっか、そうなるのか。でもさ、いつ貰ったとしてもひなから貰えるってだけで最高に嬉しいから問題ない。いくら微妙な物でもな!」
「上げてるんだか、下げてるんだか」
ニヤッと意地悪に笑う亮介にひなも苦笑いが漏れた。