仲良し8人組
それを誤魔化す様に、亮介が耳を触って早口で言葉を放つ。
「まあ、緊急の用がない限り仕事は大丈夫だと思うからさ。気にすんな」
ぶっきらぼうに聞こえる口調だが、やっぱりひなには亮介のその言葉が嬉しくて堪らない。
どんな時でも誰かの為に一生懸命。
そんな亮介が、好きなんだよ。
口にはしないで胸の中でそっと呟くその思い。
亮介はひなのそんな気持ちなんて知る筈もなく、グッとマグに入っていたコーヒーを飲み干した。
「そんじゃ、食べ終わったら行くか!」
提案しているつもりなのだろうが、提案というよりは、もうほぼ決定事項だ。
「うん。って言いたい所だけど、私一回家に帰るよ」
「あっ、だったな」
机に頬杖をついて笑ってそう言うひなは、亮介と会えて、亮介と話して、少しだけ余裕が出てきたのかもしれない。
それでも不安はまだ山ほどあるわけで。
「そのさ、亮介。あのー……」
「家にも付いて行ってやるよ」
ひなの言葉を途中でかっさらって、ひなの欲しい言葉をくれる。
今、亮介と離れたらもう会えないかもしれない。
そんな不安がひなの頭をひしめきあっているのだ。
うん。という返事と共に、大袈裟なほど首を縦に振ったのは安堵があったから。
それに、
「俺は消えないから心配すんな」
真剣な目をしてそう言ってくれる亮介の言葉を信じたから。
首を縦に振りながら微笑むひなを見て、耳を少しだけ赤くさせ、ガブリとあんパンを頬張る亮介のその姿は明らかに照れ隠し…なのだろう。
そのバレバレの照れ隠しにすらひなは気付いていない。
いわゆる鈍感というやつだ。