仲良し8人組
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ひなの住んでいるアパートの前まで着くと、少しだけ首を傾げて亮介が口を開いた。
「ひなの住んでた部屋ってどこだっけ?」
「えっ!?2階の右端の角部屋だよ。亮介知ってたよね?」
亮介は何度かひなの部屋に来ていた。それに、ひなの引っ越しの手伝いもしてくれていたのだから、部屋を知らないっていうのは可笑しな話だ。
「わりぃ。記憶に無い」
ひなから視線を外してばつが悪そうにそう言うのを見ると、本当にひなの部屋の記憶は無いのだろう。
ひなに関する記憶が消えかけているのならあり得る事だ。
「あそこ!」
そう自分の部屋を指差せば、亮介か眉間にグッと皺を寄せて「そっか」と相槌を打つ。
何だかその亮介の表情が気になってしまう。
ひなの部屋は何も変な所は無い筈なのに。
「亮介は、……一緒に来るよね?」
恐る恐る確認する様に尋ねるが、亮介がゆるゆると首を横に振る。
「いや、ここで待ってるよ。多分俺はひなの部屋に入れない気がするし……」
そんな訳の分からない事を言う。
「何で?」
「あー、何でか分かんねぇけど、ひなの指差した部屋のドア、立ち入り禁止っていう貼り紙が張られてる」
貼り紙が張られてる?
部屋のドアに?
「嘘っ!私には見えないよ!」
ひなの目に映る部屋のドアは至って普通。
貼り紙なんて貼られていない。