水曜日の彼女


「俺、兄ちゃんと母さんの事ばかりで、このミニカーに込められた亜紀さんの想いに気づかなくて…途中で行かなくなった。


今になって、その事が亜紀さんの心を深く傷つけていたことが分かったんだ。

だからちゃんと会って、あの時刻んだ心の傷を癒したい。

後悔している想いを…少しでも……ほんの少しでもいい…幸せな想いに変えてあげたい。



穏やかな心で…


俺たちの笑顔を心に刻んで…


亜紀さん…ううん。ママも笑顔で…




そうして…最期を迎えて欲しい。




これが息子として最高の親孝行かなぁ……って思ってる…。」




博斗の穏やかな表情から、思わず顔を逸らした。


同じ境遇に置かれたはずの弟なのに…しっかりと前を向いている。


その表情が…あまりにもカッコ良く思えたから…。



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