水曜日の彼女


「カッコイイですね…。

あなたの医者っていう職業も…あなたも…。」



俺は医師の顔を見て言う。

言うこともカッコイイ上に、外見もカッコイイ人だな…。

座っていても分かる位の長身に、サラサラの黒い髪、甘い顔…。

それに…白衣姿が更にカッコ良さを増している。

俺の言葉に、フッと微笑むと……



「全然カッコ良くなんてないよ。

俺だって若い時は、色々間違った選択をしてきたし、沢山の人を傷つけた。

今だって…奥さんに、よく怒られるよ(笑)」



そう言って、グイッと缶コーヒーを飲みほした。

その左手の薬指にはキラリと指輪が光っている。



これほどの人を怒る奥さんって…どんな人なんだろう…?



そして…思い出したように医師が口を開いた。



「そう言えば、恋人のこと…拒絶したって言ってたけど…、仲直りするなら早い方が良いよ。

色々気持ちを整理することは、とても大事だけど…時間をあけ過ぎると…逆に言葉が出てこないんだ。

これは人生の先輩からのアドバイス!

俺なんて…10年も待たせちゃったからな…奥さんの事……。」



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