水曜日の彼女
**優しい別れ**


~~玲菜side~~



朝晩が冷え込むようになってきた9月末。


夜中に瞳さんから連絡を受けて、そこから殆ど眠れなかった。


朝方になり、やっと寝付いたけれど、それでも1時間ほどで目が覚めてしまった。


洗面所の鏡にうつった自分の顔は、あまりにも不細工で…冷たい水でバチャバチャと乱暴に顔を洗って、コンディション最悪の顔にむりやり化粧を載せた。


そして部屋に戻ると、大学に行く準備をする。



「玲菜~ご飯は?」



1階に下りて行くと、お母さんが心配そうに私を見つめる。



「ごめん…お母さん…。

食欲ないや…。」



そう言うと、心配するお母さんを背に家を出て大学に向かった。




そして…大学の講義の内容も殆ど頭に入らないまま、一度家に帰ると、黒のワンピースに身体をねじ込み、お母さんに借りた真珠のネックレスを首に付けた。



< 322 / 375 >

この作品をシェア

pagetop