浅葱色に射す一筋の泪




勇司「母上が捻じ曲げた史実ですか?」


優輝菜「……………………………。
捻じ曲げた………」


勇司「いや……悪い意味じゃなくて…」


優輝菜「新選組の史実を変えた事に後悔はしてない……」


土方「まぁ……なんだ……。俺がいなきゃお前らも生まれて無かったんだ……」


勇司「…………そうですね………」


優輝菜「なに」


勇司「母上がしたことによって世界が変わってしまったら………」


優輝菜「史実を捻じ曲げても……、結果は変わってない。少し早まったりはしたけど……。 日本を統一させるにはこうするしか無かったんだよ………」


勇司「母上のエゴ……ですよね……」


優輝菜「何でエゴと言う言葉を知ってんの?」


勇司「優衣ちゃん………」


優輝菜「……あぁ。そう………。
確かに……エゴだね。新選組は潰れる運命だった。 でも、後悔はしてない」


勇司「それも母上のエゴですよね……」


土方「何だ勇司。やけに突っかかるな」


勇司「本当に母上がした事は正しかったのか……。 そんな事を考える時があるんだよ」


優輝菜「……………………………。
正しいか正しく無いかと言われたら……正しく無い。 史実を曲げたんだから」


勇司「生きる筈だった人間が死んでいるかもしれない」


優輝菜「はい。そうです………」


勇司「後悔………してないの?」


私が殺した人達は、正直……本来生き残っていた人達かもしれない……


優輝菜「勇司なら……父上が死ぬのは運命だから、先に何が起こるか分かっていても……見て見ぬ振り出来る? 近藤さんや、総司、平助、左之、武田 観柳斎、坂本さん、中岡さん、麻呂、古高が目の前で死にそうになってても……助けないの?」


勇司「……………………………。
分からない。」


優輝菜「私の考えが間違ってるのかもしれない。でも……私は……見て見ぬ振りなんてできない。 勇司は……実戦を見てないから……戦の怖さを知らない。」


土方「勇司………。優輝菜はデカイ戦を一つ無くしたんだ。それにより、双方の何万人の命が助かったんだ」


歳輝「兄上……どうしたの?」


勇司「別に……。ただ……正しい決断だったかは……分からないだろ」


土方「だから……何が言いてぇんだ」


勇司「未来がおかしくなったら母上の責任。 あまり史実を曲げないで欲しい」


全「……………………………。」


優輝菜「日清戦争をしかけろと?」


勇司「はい。 支那人の侵略を防ぐ為に」




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