月下美人ー親友以上恋人未満は、運命じゃない二人ー【完】
恐らく、教えたかったということを頭の中に描いて陶酔している景周が、
ゆっくり呼び戻されるように目を開けた。
「ん? ああ……知っていることは、知っているよ。
けど、あいつが結婚しなかったことをぐだぐだ言う気はない。
鈴斗がいてくれるが、あの子が大きくなるころには私は杖をついとるかもしれん」
「いえ、景周さんなら百歳でも道場に立っていると思います」
きっぱり言い切ると、景周のしょぼくれていた顔がはっきりとした。