五つの顔を持つ私
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~真夜中の繁華街~
コツコツコツコツ
高いヒールの音が路地裏に響く。
ピタ
少し先にいる黒ずくめの女を見据えた。
─サタン─。
コツコツコツ
だんだんと近ずいてきた。
「あら、誰かと思えばルシファーじゃない。さっきぶりね」
相変わらずの機械的な声。
感情がまったく感じられないロボットのような音。
「…」
「本当昼間の時とは大違いだわ」
「…仕事…」
「はいはい。行きましょう」
さすが世界レベルの殺し屋。切り替えが早い。
まぁ、切り替えが早くないとこの世界では生きていけないんだけど。
仕事に私情を持ち込むのはご法度。
情をかけてはならない。
それはこの世界の絶対的な掟。
その禁忌を犯したら最期、命取りとなる。
なぜなら殺し屋に感情などは必要ない。
もちろん仲間意識も持ってはいけない。
いつ敵になるか分からないのだから。
昨日の敵は今日の友。
今日の友は明日の敵。
そういうこと。
私がもしサタンのことを殺さなければならなくなった場合、躊躇いもなく殺すだろう。
ここはそういう世界。
当たり前のこと。
殺らなければ殺られるのだから。