五つの顔を持つ私
「おはよう、麗。今日転校生来たんだってね」
「…そうなんだよ、実はさ…」
薫に説明しようとしていたそのとき、
ガラガラ
「…はぁ、噂をすればだよ…」
転校生が教室に入ってきた。
「…あれ?」
「…そう…」
「ふぅ~ん?イケメンじゃない?」
ずっと転校生のことを観察するように見ていた薫だったけど、ふと、
「…あら?」
と、呟いた。
「ん?どうしたの?」
「いや…、ちょっと麗に似てない?」
私は盛大にため息を吐いた。
…やっぱ薫は気付いちゃうかー。
そりゃそうだよな、世界レベルの殺し屋が気付かないわけがないもんな…。
「…双子だし…」
「え?なんて言った?」
私の声は小さ過ぎて聞こえなかったみたい。
「だから!美麗とは双子なの!!」
「…は?」
信じられないっていう顔をしている薫。
…もう、仕方ないなぁ…。
「…美麗」
「ん?」
「…おいで」
私に顔を近づける美麗。
「…わかった?」
「…まぁ、そう言われてみれば…、似てなくもない…かな…?」
「私と美麗は二卵性の双子なの。中1のときにアメリカに留学しちゃって今まで連絡もしてなかったし、会うことももちろんなかったから今日来ることも知らされてなかったの。だから驚いちゃった」
「…そ、そうなんだ…」
「…麗、その人は麗のお友達…?」
「…え?違っ「はい~、そうなんです!よろしく~」」
「…よろしく…」
あ~、ダメだなこりゃ、美麗、完璧に警戒しちゃてるよ。
「…そうだ!あなた、暴走族に興味ない?」
「…暴…走…族…?」
あはは…、美麗、だんだん顔が険しくなってるよ…。
そのまま、訝しげな顔で私を見てきた。
「…麗も出入りしてんのか?」
「…ちょっとね…」
わけありで…。
美麗はその言葉の意味がわかったのか、黙って薫を見た。
私と美麗は言葉がなくても心が通じる。
一心同体だから。
「…きょーみない」
「ま、ま、そう言わずにさ、来てみてよ、案外おもしろいかもしれないよ?」
あ、やばい。美麗がキレかけてる。
ここは姉の私がなんとかしなくては。
「薫?そこらへんにしてあげて?美麗、行くわよね?」
「麗…「行くわよね?」」
「…ああ、」
無言の圧力で美麗を制し、薫に向き直る。
「さっすが、姉の言うことなら聞くのね」
薫は変なところで感心していた。