絶対王子は、ご機嫌ななめ

何かと身体がぶつかった感覚に目を覚ます。

「う~ん……。あぁ私、あのままソファーで寝ちゃったんだ」

電気を消されているのか部屋は薄暗い。寝ぼけ眼をこすると、小さく息を吐いた。

政宗さんに頭を撫でられて、それが気持ち良かったからって寝ちゃうなんて。

いくら政宗さんに円歌ちゃんという恋人がいるからって、気を許しすぎるにもホドがあるというものだ。政宗さんだって男。いつどこで、凶暴な男の部分が出るか分からないというのに……。

なんて。私にもっと女の魅力があれば、そういうこともありうるかもしれないけれど。いかんせん、魅力の“み”の字もない。全くない。だからそんな心配は、微塵もすることはないんだけれど。

あのまま一体、どのくらい寝てしまっていたんだろう。

起き上がり時間を確認しようとして、寝ているソファーの感触が違うことに気づく。パッと目が覚めると起き上がろうとして、それもできないことに今更ながらに驚いた。

な、なんで……。

顔を横に向ければ、そこには気持ちよさそうに寝息を立てている政宗さんの顔。あまりの至近距離に、更に驚き言葉も出ない。



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