絶対王子は、ご機嫌ななめ

身体にも違和感を感じ目線を下ろすと、政宗さんの腕が私に巻き付いている。

「嘘……でしょ?」

あり得ない。どうしてこんなことになっているの? 私は政宗さんに頭を撫でられて、ソファーで眠り込んでしまっただけ。なのにここはどこ? なんで政宗さんに抱かれているの?

顔だけ左右前後に動かして、部屋の中を見回す。特にこれといったものは置いてないけれど、私が今寝ているのは大きなベッドでその横にはお洒落なナイトテーブルがあることから、この部屋は寝室だと結論づけた。

ということは、寝てしまった私を政宗さんがここまで運んでくれたってこと? 寝ている私を抱き上げたなんて、さぞや重かったことだろう……。こんなことなら、もっと早くダイエットしておくべきだった。

って今は、そんなことはどうでもよくて! 政宗さんに抱かれているこの状況を、どうにかしなきゃいけないでしょっ!!

そうは思っても、政宗さんは相変わらず気持ちよさそうに眠っている。そんな政宗さんを起こすのは、ちょっと可哀想?

最初こそ驚いてしまったこの状況も、慣れてくるとそこそこ気持ちが良かったりするもので。別に慌てて起こさなくてもいいんじゃない?とか思ってしまうから、恋って恐ろしい。



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