熊と狩人


狩人は答えた。


「あんたに助けてもらったときに、確信したんだ。おれは狩人として、まだ未熟過ぎるってね。このままこの仕事をつづけても、きっとうまくやっていけないだろう。実は、おれの親父も狩人だったんだ。親父はおれを学校へは行かせずに、狩人しかなれないように育てた。数学や英語の代わりに、猟銃の撃ち方や、獲物の調理の仕方を教えこまれた。しかし、一番大切な森でのふるまい方だけ、教えてもらえなかった」眉間にしわをよせた。「半年前、嵐による土砂崩れに巻きこまれて、親父は死んでしまったんだ」


熊はだまって聞いていた。


「お袋はだいぶ前に病気で亡くなっていた。おれはまだ、五歳の妹とふたりきりになってしまった。妹を養うために、おれは自己流で狩猟の仕事をはじめた。でも、全然だめだった。獲物の狙い撃ちには自信があるが、森の中でうまく行動することができない。だから、狩猟の仕事はうまくいかなかった。親父の蓄えでいまはどうにか食っていけているが、このままではいけない」


「それで、おれに森でのふるまい方を教えてくれと?」


「ああ」


熊は狩人の前に歩みより、顔を近づけた。熱い息が、狩人の目にかかる。



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