熊と狩人


熊は言った。


「おまえ、変わってるな」


「ん?何がだ?」


「人間はすべての動物をなめてんだろう?犬や猫はかわいがって、豚や牛を殺して食うことに、疑問を感じていない。そんな人間が、動物に教えを請おうとするなんて、なんだかおかしいじゃないか」


「自然との接し方に関しては、人間はあまりにも未熟だ。だから、動物から学んだほうがいいと思った。それだけさ」


「本当に変わったやつだ」熊は笑った。「よし、教えてやるよ。ただ、おれは熊としてのやり方しか知らないから、それしか教えられない。それでもいいか?」


「ああ、教えてもらったことを、人間としてのやり方になおして覚えるよ」


「わかった。じゃあ、ついてこい」




< 9 / 20 >

この作品をシェア

pagetop