マルメロ
「卒業後、放浪の旅に出て、消息不明です――」
やや過剰な表現で、彼は身内の話題を消し去った――。
「そうですか――」
彼の心情を読み取り、火照る心を冷やし、落ち着いた口調に戻ったミレイ――。
「いずれにしろ、今日はもう帰って頂いて結構ですよ――」
「それと、先程も申しましたが――」
そう言うと、視線を鋭利なものに切り替え、彼の意思を再度確認する――。
「いいでしょう――」
諦め、悲しさ、期待――混じり合った思念をミレイは囁いた――。
「茜さんっ――」
「は、はいっ――」
彼とミレイとの会話の邪魔にならない様に、「気配」を消していた茜にミレイが急に詰め寄る――。
「だて眼鏡でもいいんだけれど――」
口惜しそうな声――。
意味がわからず、彼に救済の目線を送る茜――「後で説明するから――」と意図を込め、彼が頷く――。
彼の意図を理解し、茜は落ち着きを取り戻す――。
「楽しみにしてますよ、茜さん――」
開けたカーテンの端を持ち、ゆっくりと閉めながら言うミレイ――。