ミク。
【ユキ、一緒に入っても良い?】

シャワーだけであがるかどうか迷っていた丁度そこへ、今、一番の悩みの原因である陽菜の声がして、答えないうちにドアを開けられ、彼が大きなバスタオルを背中で結んで貰った姿で入って来てしまう。

「あ…あぁ。入るんだ?」

【うん。】

本人も恥ずかしそうにしては居るが、背中を流したいなんて云ってくる。が、もちろんそれは珠里夜から何やら言われた事を彼なりに解釈したがゆえ、こうなった事が伺える。

【だって、さっきお姉さまから聞いた。】

と、恥ずかしいのを我慢して背中を流す為のタオルを濡らしてボディーソープの準備をしてくれている彼から聞かされた内容は次の通りで、《さっきので服が汚れたようだから洗濯します。脱いだついでに春は一緒に入るって云って血が少しついてしまったその顔を洗って貰いなさい。》と云われた事。しかしあんな事を言った後なので入れないと云って困っていると、《じゃあ本当の嫁にはなれませんね。》と云われて《本当の嫁と云うのは愛する大切な方を支えるものです。その支えるというのは、まず大切な方が過ごす空間である部屋を綺麗に掃除したり衣類を毎回洗濯する事。その方が元気で健康で居られるように美味しい手料理を造る事。そして疲れた身体を労る為にも一緒にお風呂に入り背中を流してあげて、寝床を共にする。こういう事、全て難なくこなせるのが本当の嫁です。出来ないなら嫁では無く知人か何かでしょう》と云われた事を話し、だから今日から毎日背中流すからっ!と、意気込んで来た為、ユキは心の中で珠里夜に向けての独り言を呟いた。

「…‥姉さん…これはなんの試練ですか‥‥‥‥。」
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