ミク。
だが彼はいつだって云ってくれる。

【ユキは悪くなぃ…だから、ごめんは云わないで】

「けど、」

【ごめん云うのは私…‥。だって、ねぇ…、この後仕事無いよね?まだお昼だし、今日もあそこ行きたいから、連れてってくれる?】

陽菜は、最近よく自分達が初めて出会った場所に行きたがる。しかし、翼を出す。という事が未だ出来ない為、誰かに連れて行って貰うしかなく、それをいつも自分に頼むという行為を、この頃は申し訳なく思っているようで、必ず一言ごめんと云って来る。

「陽菜こそごめんは無し。僕だってあそこが好きなんだから、いつでも連れてくよ。」

そう云ってやると、口元だけで薄く微笑む。…‥が、やはり何処か我慢しているのだという事が手に取るように分かるし、彼をいつものように抱き上げて隣国との境目にある全く人気の無い“出会いの華園”に連れて行くと普段以上の甘々な甘えん坊になって全身で抱きついてきて、今にも消えてしまいそうなくらい切なく、儚げな表情を向けてくる。だから自分は熱くなって流されて、つい、柔らかい唇も、プニプニで可愛い頬も暴力的なまでに唇で貪り、指先で確めながら、奪ってしまう。こんな隠し事が気が付けば日常化していて、今日までどれくらいのキスを彼に与え、して欲しいと誘ったのか?もぅ、全くと云える程覚えていない。だが、もしかしたら珠里夜だけは気付いているのかもしれないと、最近は思う。が、わざわざ聞いて確めようとは思わない。
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