ミク。
【ねぇ、ユキ…?】

「ん?」

【私のこと、女の子より好き?】

「好きだよ。」

【他の男の子より?】

「当然。」

【…………‥じゃあ、ちゅー‥もぅ一回して?】

「~良いよ。」

【…‥ん…】

ここに来る度、最初のキスが終わると似たような質問をされるから、なかなか互いにキスの魔法から解放されなくなってしまう。だが、その事で少し前【わがまま云ってばかりで、ごめんね?】と謝られたが、陽菜はわがままをしているワケじゃない。と、その事は誰よりも自分が良く知っている。…‥そうでは無く、陽菜は不安なのだ。買い物や習い事で一人で外に出掛けた時に馬鹿にされ、陰口をたたかれたり、他にも色々と自分についての噂なども聞いているだろうから、ただ不安なだけだ。それに、余計な変化まで敏感に感じ取って気付いているから、気にして、心配もしてくれている。

【‥ユキ?やっぱり、もぅ嫌?】

「嫌なワケ無い。何云ってんの?」

【だって、なんか変…】

この子とキスをするのが好きで、唇や額、頬を貪れば貪れただけ幸福感や快感を得られる。だが、好意のキスを繰り返せば繰り返した分、もっとそれ以上が出来る女の子の身体だったら良かったのに…なんて考えが浮かんできて、ふと妄想してしまい、行為を鈍らす瞬間が確実に増えてきている。それを感じ取っているから気にして、心配してくれているのだろう。

「…‥変じゃない。」

同じ男の子だから、できるハズ無いのに、自分の中にある、酷くて、卑しくて、最低な欲望と妄想。~だから、

「あんまり陽菜が女の子より可愛いから、かな」

そんな言い方で誤魔化して、これ以上余計な事は云わせない為に彼の唇を自分の唇で深く塞いで蓋をした。
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