ミク。
「案じないで下さい…‥。金ならちゃんとした方法で自分の力で手に入れてるし、優雅で快適な一人暮らししてますから。」

と、冬は云ったが、真実は優雅でも快適でも無かった。…‥と云うのも、まだ本来育母に面倒を見て貰うべき期間である為、何処かの店や軍に勤められるわけが無く、四季神だけが与えられる事を許されるという季節の屋敷さえ後、約九年程たたなければ手が届かないただ同然のガキである子供が半年間で貯められた家出資金である優勝賞金や褒美の金なんてたかが知れているという物だ。だから本当は、ほとんど誰も来る者がいない自然公園と称された山の奥の方に神力で広い穴を空け、その洞窟のようにした場所で一人暮らしをしていた。

《では、お風呂もベッドも台所もお茶室もちゃんとあるのですね?》

「ええ‥。有りますよ」

冬は、彼女にだけは迷惑も心配も掛けたく無くて、嘘をついた。けれど、本当は自分が今暮らしている場所に彼女が云って来たようなものは一切無い。
電気も水道も何も無い。あるのは季節事に食べられる木の実や果物を成らしてくれる木と、こんこんと綺麗な湧き水が豊富に溢れ出る池。そこで飲み水を確保したり、身体を洗っている。また、近くに非常に小さな鍾乳洞があり、水が溜まっていて魚が大量に生息しているから、時々そこで釣りをする。それが今の自分の家だ。
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