ミク。
冬は本気で春を忘れてあげようと思った。が、毎日春の事が頭から離れなかった。特に、あの後どうしたんだろう?と考えると胸がズキズキと痛み、自暴自棄になって二番目の育母の元に一時帰宅してみたが、深夜ベッドに夜伽だとか練習だとか云われて潜り込まれ、肩に触れられたら気持ち悪いし、唇を求められた瞬間には気持ち悪いを通り越して身体の底からゾッとして吐き気と同時に、春の顔が浮かんだ。そうしたら更に何かをされる気にもさせる気にもなれなくて、オンナの顔を力任せに叩きベッドから蹴り落とし、目を白黒させていたソイツに向かい、吐き捨てた。

「ああ…すみませんね。あんまりキモくて、つい」

春なら良いのに…。と、思った。春がこのクダラナイオンナみたいに求めて来てくれたら、と…‥。しかし、直ぐ様その思考は否定された。春は…違うから良いんだ、と。違うからスキになれたし、好きになったんだ、と。

「一度僕をオトコにしたからって調子づかないで下さい。いくらなんでもどーでも良い貴様に何度も好きにさせる程、安物にはなりたかねェんですよ。」

云いながら、春を想っていた。彼は自分がこんな所でこんな馬鹿な真似をして気持ちを秤に掛けている間にどうしているのかが気になって、もぅ…こんな所に長居する事が出来ず、ずらされたジーンズを元に戻し、乱された上着を適当に身に付けたまま大きな純白の翼を広げ、一番早く外に出られる窓から脱出しようと試み、近くに見えた窓を乱暴に蹴りあげた。
…‥ガダーン…っ!!
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