ミク。
外は昨夜からなかなか移動しない台風の影響で土砂降り状態。だが、丁度良い。こんな馬鹿はこんな最低な深夜に雨と泥でずぶ濡れになって余計馬鹿らしくなれば良いんだと頭で言って、飛ばされる家屋や老木を大して気にも止めず、別に当たって重傷を負っても良いや。と、笑いを声に出しながら激しい雷雨の中飛行していると、画用紙で造られたボロボロの式神が何処からか飛んで来て自分の前に躍り出るなり珠里夜の声で伝言を伝えてくる。

《冬、貴方は何処で何をしているんです!さっさと家へ来なさい!春が死にます!!》

「っッ…!?」

なんの事か、全く分からなかった。だが、式神が真似た彼女の声は二~三週間前にあんな事をして一年間も長居したくせに一言の礼も云わず出て来た事を怒っているのでは無く、全く違う事で切羽詰まっている声だった為、本当に春の身に何かあったのだという事がミシミシと音をたてて伝わって来て、気がついたら一目散で二人が居るハズの家に向かって翼を羽ばたかせ加速していた。…………だって…………………だって…‥春が死ぬってなんなんだよ!!?

 「~姉さんッ!!」

玄関の引き戸も何もかも壊す勢いでグワシャアッっ‥!?と乱暴に室内に飛び込んで来た冬を注意する事も叱る事もせず出迎えた珠里夜は血相を変えて荒く肩を上下させていた彼の手を無言で乱暴に掴みあげると、彼を春がいるベッドまで連れて行った。
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