ミク。
ベッドに近付かなくても聞こえていた酷い咳と過呼吸音…‥。しかし近くへ行けば行っただけ危篤状態とも呼べる最悪な容態だと云う事と、動けないようにタオルで両手足を縛られている事が分かって冬はこんな事をしたと思われる珠里夜を凍てついた漆黒の瞳で睨みつけて怒りを露にした。

「春に…何してんですか!早くほどけよ!?」

《黙りなさい!!》

しかし、バシリッ!!!‥と、外で大暴れしている台風と張り合う程の強烈なビンタ音と怒鳴り声が部屋全体に響き、冬は僅かによろけ左の頬を赤くした。

《良いですか!春は今、小児喘息と肺炎と急性咽頭炎を同時に引き起こしています!その原因は貴方にあるという事を頭に叩き込み反省しなさい!!》

…やはり‥。と、痛い所を突かれた冬は一気に罪悪感の塊に襲われる。やはり、あの時無理矢理幼い唇を奪ってしまった事が引き金となり、小さな春の身体に酷い恐怖とショックを異常に与えてしまったから、こんな事になってしまったのだろう、と。だが、次の瞬間、思いもしなかった事を彼女の口から聞かされてしまう。

《と、いう事で、私が怒っているのは貴方が失禁した春にもぅ会わないなどと言って勝手に家を出て行った事ですから、春が少しでも気付いたら謝って、会う事を約束しなさい!》

「え…?」

冬は、一時、自分が何を云われているのかが分からなかった。だいたい失禁って…?と、罪悪感と戸惑いに襲われていた自分に冷たい溜息を一つ溢すと、珠里夜は仕方無しとばかりに次のように詳しく教えてくれた
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