ミク。
しばらくたってから春が眼を覚ますとすぐそこに大好きな冬が居て、自分の手を大きな両手で包み込んでくれていたのを見る事が出来た。

【‥‥ふゆ…】

「春!姉さん、春が気付いたよ?」

《やっとお目覚めですか?春。》

二人から交互に見つめられて、春からすれば一体何事かとも思うし、そんな事より何よりも現在時刻が気になって仕方が無い様子だ

【ねぇねぇ、今何時?】

と、手に白い粉をつけている珠里夜に訊ねれば夕方の五時半を回った所だと教えられ、えっ!?と言わんばかりに大慌てしながら彼女の隣に居た冬を誘いに掛かる。

【冬大変!早く行こ?】

「…え?」

【え?じゃない~!外行くぅ!冬帰って来たんだから行こうよ外】

「駄目に決まってる。病み上がりだし、春、今まで気絶してただろ?」

一旦、冬は誘いを断り、色々な意味でまだ危ないから安静にしているようにと言い聞かせようとしたが、今回は自分の言う事さえ頑として聞かず、テコでも譲らない態度を取られてしまう。が、それというのも春なりの深い理由があったようで、こう言ってきた。

【でも行く!いま行く!すぐ行く!絶対行く!ぜぇったい行くツリー見る!】

~そぅ。何を隠そう今日はクリスマスイブで、春はどうやら自分とツリーを見に行くつもりで居たらしい事が分かる。とはいえ、体力がまだ戻っていないこの子を外に連れ出すなんて、やはりもっての他だ。
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