ミク。
「駄目っつってんだから駄目!姉さんが造ってくれてるケーキ喰ったら安静にしてる事!」

と、厳しく叱りつけてみたが、とにかく言う事を聞かず終いには一人で起き上がるのにも大息をついてしまう身体で寝かされていたベッドから起き上がり、着せられていたハンテンも浴衣も脱ぎ出して外出用の服に着替えだす始末だ。

「春!体力全然戻って無いくせに、何考えてる!」

【ツリー行くっ!!】

「また倒れるから駄目だ」

【ツリー御願いしたらすぐ帰るから行くんだ!!】

 良く言えば意志が強い。悪く言えば相当の頑固者たる彼の性格を良く理解している珠里夜はなんとか行かせないようにしようと努めてくれていた冬に呆れ笑いを浮かべた顔を見せながら少しだけ連れて行ってあげるようにと促した。

《春はちょっとやそっとの事で己の意志を曲げるような可愛い子ではありません。なにせ、先程話した通りの子ですからね。》

「だったら、どぅしたら」

《連れて行ってあげて下さい。気が済めばお寝んねする子供です。》

冬はチラリとお気に入りの腹黒執事ポーチに持って行きたいものを入れている春を美しい漆黒の瞳に映しながら仕方なしとばかりに頷き、珠里夜に少しだけ彼を連れて外出してくる意を伝えた。

「じゃあ、行ってきます」

《えぇ。温かくして、大事に扱ってあげて下さい》

「はぃ。」
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