人生、やり直しませんか?
 懐かしい授業、かろうじてまだ解けるレベルの問題、私はそれにも大苦戦していた。


 まさか私が死んだ理由、勉強が嫌で?


 そんな事を本気で考えている内に、


 「莉菜〜ノート見せてよ〜」

 
 優しい声が私の頭の上から降りそそいだ。


 その声にハッとして私は顔を上げてにっこり笑った。

 
 「美紗!ダメダメ〜こんなノート見ないでぇぇ!」


 「やだもん♬見る見る〜」


 美紗がイタズラっ子のような顔をして、ノートを開いた。


 あ〜…見ちゃった。


 「ちょっ、お前字汚ぇ。読めねーよこんな字」

 
 え?この話し方……美紗じゃない。


 恥ずかしくて顔を覆っていた手を離して、美紗を見ると、その手にノートは無い。


 私のノートを持っていたのは、


 スラリと背の高い…超絶イケメン!


 え?クラスにこんな人いたっけ?


 「恋!そんなこと言っちゃダメ〜」


 「でも美紗〜これ見てみろよ〜」


 “レン”と呼ばれたイケメンは、唇をとがらしていじけてみせた。


 「ノート返して…っ!」


 「ほらよもっと字、綺麗に書けよな」


 イケメンがノートで私の頭をポンポン叩く。


 「自己紹介しなよ〜」


 美紗の一言、それからイケメンがにっこり笑って、


 「俺は、恋。恋って書いて“レン”って読むんだ。変な名前だろ?」


 「私は莉菜。変わった名前だね」


 「よく言われんだよな〜…」


 恋が大げさに肩を落とす。


 その時、チャイムがなって恋は窓際の席についた。


 クラスメイトだったんだ……。








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